PROJECT story

#02 関電不動産八重洲ビル

Yaesu

協働と創造の空間設計で、
オフィスビルの常識を変える。

「関電不動産八重洲ビル」は首都圏のフラッグシップビル(旗艦物件)と位置づけられている。コロナ禍という変革の時代に求められるオフィスビルとは、どんなものなのか。メンバー一人ひとりが信念をもち、日々生まれる課題をクリアしながら、プロジェクトを推進していく。

MEMBER.

  • 髙田 拓
    2009年入社 首都圏事業本部 ビル事業部
    建築技術グループ
    髙田 拓
  • 鈴木 浩太郎
    2016年入社 首都圏事業本部 ビル事業部
    建築技術グループ
    鈴木 浩太郎
  • 西川 麻花
    2019年入社 首都圏事業本部 ビル事業部
    事業運営グループ
    西川 麻花
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首都圏のフラッグシップビル

2018年、「関電不動産八重洲ビル」の商品企画が始まった。2012年に、計画敷地内のビル2棟を取得。築年数が40年を超えるビルもあり、当初から建替も視野に入れた取得だったが、6年間運用したのち、テナントの退去手続きや隣地所有者との折衝などを経て、いよいよ隣地3棟を含めた街区一体での再開発事業に着手することになった。

本計画地は、「東京」駅や東京メトロ銀座線「京橋」駅など、5駅16線が利用可能な交通至便なエリアに位置し、八重洲通りと昭和通りの交差点に面する希少性の高い立地である。しかも複数のビルをまとめて1棟に建替えるため、四方道路の開放感が生まれる。

約10名のプロジェクトメンバーをまとめるリーダーの髙田は、大きなプレッシャーを感じていた。普段からオフィスビルや賃貸マンション、ホテルの商品企画および開発推進の業務には携わっているが、今回のプロジェクトはその意味合いがまったく違った。入居するテナントに満足してもらうことは大前提だが、それに加え「関電不動産八重洲ビル」は、首都圏のフラッグシップビルに位置づけられていた。関電不動産開発の首都圏におけるビル事業の未来を左右する、といっても過言ではなかった。

そして、メンバーの一人である鈴木もまた、髙田と同様の思いを抱いていた。当ビルには、関電不動産開発の首都圏事業本部も入居することになる。つまり、不動産開発のプロがそのビルを使用するのだ。身内の期待値を下まわるようなことがあってはならない。いやがうえにも士気があがった。

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新たなオフィスレイアウトとワークスタイルの提案

2018年6月に働き方改革関連法が成立し、労働時間の見直しや働きやすい環境の整備、ダイバーシティの推進など目まぐるしく社会が変化し、各社がさまざまな取組みを行なうことになった。オフィスビルの開発計画においても、その視点が重要な要素の一つになったと言える。

いろんな人が、いろんな場所で、いろんなスタイルの働き方ができるように──。本プロジェクトは「より心地よく、より安全に、より創造的に」を開発コンセプトとし、働く場所や働き方の多様化への対応として、貸室内にはプライベートテラスやオフィスキッチンを設置、屋上には屋外ワークスペースや社内イベントスペースとして活用できる約250㎡のルーフテラスを計画するなど、「協働」や「創造」に適した空間づくりに注力した。

水回りは、コミュニケーション活性化の一つの仕掛けになると考えていたが、通常のオフィスビルでは、給湯室が共用廊下に配置されることが多い。そういった環境では、社員間の活発なコミュニケーションが生まれるとは考えにくい。そうして、プライベートテラスに面して執務スペースの一角に「オフィスキッチン」を配置するというアイデアが生まれた。新たなオフィスレイアウト、ワークスタイルの提案であり、新たなチャレンジでもあると考えている。

この先進的なオフィスビルは、いまどきのIT企業よりもむしろ、少し“お堅い”イメージのメーカーなどに活用してもらったほうがおもしろいんじゃないか。髙田はそんなふうに考えている。最初は違和感もあるだろうが、そこで生まれる化学反応によって、本当の意味での働き方改革が実現するかもしれない。

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信念をもってプロジェクトを推進

このオフィスビルは、世の中に大きなインパクトを与えたいと考えている。また、社内外の注目度も高いため、細部にわたるまで徹底的にこだわっていかなければならない。

設計・施工会社選定のコンペでは、150項目にもおよぶ定性的な評価項目をもうけ、プロジェクトの成功にどれだけ貢献していただけるかを審査した。また、壁の位置や仕上げ材の色、設備機器の種類等を決定する際には、個人の感覚だけではなく、社内外の関係者の意見を集約したうえで進めていく必要があった。

本プロジェクトでテナント誘致を担当する西川は、営業ツールの作成において試行錯誤を重ねた。パンフレットや模型、映像など、媒体はさまざまだが、ビジュアル面を優先しすぎると、伝えたいことが伝わりにくいツールになってしまう。オフィスキッチンなどの企画意図を丁寧に説明し、入居テナントからの理解を得られるよう、上司や先輩社員にアドバイスをもらいつつ、「コンセプトに共感してもらえるツール」を模索した。

意見やアドバイスは、聞けば聞くほど悩むことになる。すべてのアイデアを反映するのは不可能だ。ただし、最終的に答えを導き出すとき、プロジェクトメンバーの考えや行動がぶれてはいけない。一人ひとりが信念をもち、日々生まれる課題をクリアしながら、プロジェクトを推進していった。

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時間はある、改善の余地もある

(仮称)関電不動産八重洲ビル

2019年9月、「関電不動産八重洲ビル」は着工した。しかし、テナント誘致の営業活動を開始しようとした矢先、コロナ禍に見舞われる。プロジェクトメンバーはオフィルビルの在り方そのものについて考えさせられることになった。

テレワークやオンライン会議が一気に浸透し、ビジネスマンの働き方は大きく変わった。そもそも会社に行って仕事をする必要があるのか。今回のビル計画だけではなく、関電不動産開発の存在意義まで問われるような問題だ。

仕事をする場所は、ヘッドオフィス・サテライトオフィス・自宅の3つに分かれたが、コロナ禍でサテライトオフィスと自宅の割合が増えることになった。かといって、ヘッドオフィスがまったくなくなるわけではない。こんな時代だからこそ、人が集まることによって醸成される一体感や、人が直接意見を交わすことで生まれるアイデアは、決して失われてはいけない。揺り戻しというわけではないが、改めて「協働」や「創造」に適した空間が求められることになるだろう。

2022年5月の竣工(予定)まで決めるべき内容はまだ多く残っており、まだ改善の余地もある。例えば、タッチレス化をはじめとした感染症対策も必要になってくるだろう。また、省エネ性能については、関西電力グループの強みを最大限に活かし、さまざまな環境配慮技術を採用することで設計段階での建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の最高ランク(☆☆☆☆☆)および「ZEB Ready」認証を取得している。「ZEB Ready」は中規模マルチテナントビルとしては国内2例目だが、将来的には「Nearly ZEB」、「年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロ、またはマイナスの建築物」である「ZEB」を視野に入れた検討を進めていくべきと考える。

「こんなおもしろいオフィスビルがあるのか!」と、テナントの興味をひくツールをつくり、誘致につなげること。それが西川の使命だ。鈴木は「24時間365日アンテナを張れ」という上司の言葉に従い、改善のヒントを探し続ける。そしてプロジェクトリーダーの髙田は、首都圏のフラッグシップビルを手がけることに誇りをもちながら、メンバーとともにオフィスビルの常識を変えていく。

3人の挑戦はまだ続いていく。

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